お休み

しばらくの間、更新をお休みします。 よろしくお願いします。

008

人間には根本的に変わらないものがあると思っていた。 そう、知恵や理性、善悪や倫理観。 だからどんな問題に直面しても乗り越えていけるのだと思っていた。 歴史はそのことを物語っているはずだと・・・本当は・・・人は環境と共に“ただ”変わっていくだけな…

007

「サブカライト、M2機関か・・・すごい発見があったわけだ」 アーンスが前髪をちょんまげに結わきながら真剣な目つきをして言った。 「日本が・・・石油枯渇後のエネルギー供給の大部分を独占、軍事力の圧倒的有利・・・」「大きく変わったよね・・・さすが…

006

「みんなよく似合ってるねー」エチカの制服に着替えた5人の少女たちにあかねは笑顔で声をかけた。 それはあかねや霞乃子が着る制服とは違い、鮮やかなシルバーとピンクを配色したタイプだった。 数日後、ザノビスを訪ねアガルマに来客があるため、少女たちは…

005 2008年組

フォトンベルト内のM2機関と地上のM2機関との間に人工フォトンを発生させることにより、光学迷彩を施した時空艦は、探知されることなく時空間移動を行えた。フォトンベルトに逃亡した指名手配中の反政府連盟は密かに、それも容易く地上と宇宙を行き来してい…

004

アガルマの医務室でサーシャとシーンは「侵入者」たちの様子を見ていた。「気がつかないわね・・・それどころかピクリとも動かない。もう3時間経つけど・・・この娘たち、何者なの?」「さあな・・・」疑念が膨らむいっぽうのサーシャとシーンの目の前では、…

003

一瞬何のことだか分からなかった。 文脈がでたらめの幼児の言葉を理解できないように「シンニュウシャ」という単語の意味を受け入れるのには、 一瞬の間が必要だった。冷静なサーシャが躊躇いがちに言葉を発した。 「た、確かに、エンジンルームに生命反応が…

002

ブリッジ全体に緊張が走っていた。微量ではあるが確かに、今までに無い種類の「ゆれ」を全員が感じていたのだ。 「まもなく2008年時空に進入します。」 他に誰も言わなかったから、とでも言うように霞乃子は形式的な口調で淡々とそう告げた。ブリッジに…

001

フォトンベルトは2060年、宇宙にその実在が確認された。時間と空間が交じり合うフォトンベルトでは、4次元とも5次元ともいわれる「時空」が形成されていたのだった。M2機関を機動力とした特殊時空艦の開発によって、人はフォトンベルト内への進入、…

000 プロローグ

西暦2108年―。 巨大な謎という概念そのものが実在として、遥か彼方、無限に広がっているような空間−宇宙はいまだとてもではないが、人間が手を加えられるような相手ではなかった。それは共生の対象ですらもない。広大な暗闇、そして光、神秘的と感じた瞬…